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ねんきん定期便~きちんと見てますか?

2021.07.14

50歳を超えると、「自分は年金をいくらもらえるか」が気になり始めます。そんな時に役立つのが「ねんきん定期便」。毎年、誕生月に送付される(1月生まれの人は誕生月の前月)ので、「ああ、あれか」と思い当たる人もいるのでは? 
将来の年金の受給に関わる大事な記録なので、きちんと目を通しましょう。

ねんきん定期便とは

「ねんきん定期便」は通常は「ハガキ」で届きますが、35歳、45歳、59歳の人には、より詳しい内容が「封書」で届きます。少なくともこの節目の年齢で確実に年金記録を確認し、誤りや記載もれがあった場合はすみやかに「年金加入記録回答票」に記入し、返送することが大切です。

日本年金機構のホームページに下記のように出ているので、こちらを元に説明します。

◇表面

[1. 最近の月別状況]

直近の月ごとに、国民年金加入者なら「納付済」あるいは「未納」と記入されています。厚生年金加入者は各人の給与(ボーナスを含む)に応じた保険料納付額が記載され、納付されていない場合は空欄のまま。「3号」とは「第3号被保険者」の意味で、「第2号被保険者」に扶養されている配偶者であったことを意味します。

ちなみに公的年金制度では、国民年金の被保険者(自営業者、アルバイト、学生など)を第1号被保険者、会社員や公務員など厚生年金に加入して働いている人を第2号被保険者、第2号被保険者に扶養されている配偶者(年収130万円未満)を第3号被保険者としています。第3号被保険者は自分で保険料を納付する必要はありません。

転勤、転職や、会社勤めを辞めて厚生年金から国民年金に変わった、あるいはその逆のケースは、特に注意が必要です。結婚を境に旧姓と新姓の記録のリンクが切れてしまうケースも稀にあるので、ここは毎年チェックしたいところです。もしも「もれ」や「誤り」があったら、居住地の年金事務所にすぐに連絡・相談しましょう。

なお、59歳の年に届く封書では、これまでの年金制度別の詳細な納付状況が確認できます。「年金加入記録回答票」「返信用封筒」が同封されているので、よく見て書き込み、日本年金機構に返送するか、近くの年金事務所に提出します。

◇裏面

[2.これまでの年金加入期間]

年金の受給額は、年金制度への加入期間と納付した保険料の額で決まり、通算して10年以上の加入期間が必要です(25年から短縮)。

厚生年金の保険料は給料天引きですが、国民年金の保険料は自分で納付しなければなりません。コロナ禍で収入が減って保険料を納めるのが難しい場合でも、とにかく「未納」は避けること。保険料の免除(1/4免除、半額免除、3/4免除、全額免除)を申請して認められれば加入期間に算入され、年金額にも反映されます。10年以内の「追納」も可能ですが、未納のままだと将来の年金受給額が減ってしまいます。

[3.老齢年金の種類と見込額(年額)]

現在の加入状況が60歳まで続くと仮定した場合の、年金受給額が記載されています。

▶基礎年金

年金制度では原則として20歳で加入し、60歳になるまで保険料を納めます。この40年間、国民年金に加入した人は、65歳から老齢基礎年金がもらえます。受給額は満額で年額780,900円(月額65,075円:2021年度)です。加入期間がそれより短い人や免除月のある人は、下記の計算式によって減額されます。

<老齢基礎年金の計算方法>

▶厚生年金

厚生年金制度のある会社に1カ月でも勤めた人は、厚生年金ももらえます。受給額は給与と被保険者期間の月数(=加入期間月数)によって変わります。

ちなみに国民年金の平均受給月額は55,946円、厚生年金(基礎年金を含む)の平均受給額は144,268円となっています(2019年度)。

ハガキに記されている自分の「見込額」を見て愕然とするのが50代女性年金あるあるの一つです。

[アクセスキー]

インターネットで年金加入状況が確認できる「ねんきんネット」にアクセスするためのアクセスキーです。有効期限は「ねんきん定期便」が届いてから3カ月。内容はハガキや封書と同じですが、常に最新の年金情報を閲覧できるというメリットがあります。

年金には男女差がある!

年金受給額にも男女差は存在します。

国民年金の平均受給月額は男性=58,866円、女性53,699円。月に5000円程度の違いですが、歳をとってからの毎月の生活費と考えるとバカにできない額です。

厚生年金(基礎年金を含む)ではさらに差が開き、男性=164,770円、女性=103,159円。男性は15~20万円台が最多ですが、女性は5~10万円台が最も多く、これは厚生年金に加入した期間の短さが反映されていると思われます。

ワーキングスタイルが変わりつつあると言われる日本ですが、新卒で大企業に就職し、定年退職までずっとその会社に勤めていた男性はやはり色々な面で老後も暮らしやすいと言えます。

これから年金額を増やすには

将来の年金額を少しでも増やすには、次のような方法があります。

①国民年金の「任意加入制度」で上乗せする
60歳以上65歳未満で、基礎年金が満額に達していない人が加入できます。保険料は月額16,610円(2021年度)ですが、2年前納などのまとめ払いにすると節約可能。さらに月額400円の「付加保険料」を上乗せ納付すると、将来「200円×付加保険料納付月数」の付加年金がプラスされます(2年納付で元が取れる!)。

②厚生年金に加入して働く
60歳を超えてからも、厚生年金のある事業所で働き続ければ、納付した保険料に比例して将来の年金額は増えていきます。

たとえば月収106万円(月収8.8万円/保険料月額8,100円)で10年間加入すれば、年金額は月額4,500円(年額54,100円)のプラス。また、過去の厚生年金加入期間が40年未満の場合、加入期間1年あたり、約1,600円(年額約2万円)が上乗せされます(経過的加算と言います)。また、パート・アルバイトの厚生年金適用範囲は今後も拡大が続くと思われます。

「人生100年時代」の選択肢として一考の余地はありそうです。





▶︎参考HP

日本年金機構 ねんきん定期便関係

『令和元年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況』 厚生労働省

厚生労働省 社会保険適用拡大特設サイト

四條 たか子 (しじょう たかこ )
フリーライター歴30年超。競馬と歴史をコア・フィールドとしつつ、伝統工芸、街ネタ、ベンチャー企業まで幅広く取材活動を行う。
税理士やファイナンシャルプランナーの書籍作成に多く関わった経験から、アラカン世代に向けた年金・相続・税金・リタイアメントなどに関する記事や、自伝作成のサポートなどジャンルを問わず執筆中。主な著書に『世界が愛した日本』『天才騎手の系譜』ほか。
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