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美容・ヘルスケア

新鮮!美容鍼

2021.03.08

 皆さんは鍼治療をやったことがありますか? イエスという人にはもうおなじみかもしれませんが、「美容鍼」というのがここ数年、注目されています。鍼は怖いからノーという人も、これを機会に見直してみませんか?

そもそも鍼治療とは?

 鍼治療と聞くと、この言葉自体は大半の方が聞いたことがあると思います。ですが、実際に鍼治療を受けたことがあるという方は、意外に少ない印象を受けます。
 2004年に財団法人東洋療法研修試験財団が社団法人中央調査社に調査を委託し、日本国内で一年間に鍼治療を受けたことのある受療者数について調査結果を発表しています。それによると、2004年の我が国での鍼治療の受療者数は約3200万人だったと推定されます。また、受療者の平均年齢は50.7歳でした。現在はもう少し増えていると思いますが、それでもまだなじみがない治療のように感じている人も多いのではないでしょうか。

 そもそも鍼治療とは、一般的な鍼治療で使用する鍼=直径約0.14㎜~0.34㎜前後の鍼を人体に刺入して、治療効果を期待する日本の伝統医療です。現在では近代医療の代替医療として位置づけられています。
 日本国内では厚生労働省管轄の国家資格として鍼師の免許制になっており、近年では海外でもライセンスとして免許制になっています。たとえば、アメリカではニューヨーク州・カリフォルニア州・ハワイ州、カナダではオンタリオ州などで一定の基準の学科単位、試験に合格すると「鍼師」の免許を交付します。その他ヨーロッパ各国や、中国・韓国などのアジア圏では、医師免許を有している者が鍼治療を行っています。

 鍼灸医学は今から二千年以上前に、中国で誕生したと言われています。紀元前四百年頃に作成されたと言われる最古の医学書『皇帝内径』が、その根拠とされており、我が国には仏教などと共に6世紀頃に伝わったとされます。日本現存最古の医学書『医心方』(平安時代)にも鍼灸医学が記されています。その後、日本国内で独自の発展を繰り返し、現在の痛みなく人体に鍼を刺入する技術は「日本式鍼灸治療」として、世界各国で高い評価を受けています。

 また、1979年にWHO(世界保健機構)が鍼灸治療の効果的な43疾患を発表したことや、1997年にNIH(米国国立衛生研究所)が鍼灸治療の効果を正式に認める声明を発表したことも追い風になりました。今では、先進国の現代医学者たちの間でも臨床研究が盛んに行われるようになり、ドイツでは腰痛などの鍼治療が保険適応となるなど、代替医療としての医学的地位が確保されています。

鍼の効能には科学的根拠がある!

 現在、日本国内では慢性的な疼痛や、神経痛・リウマチ・頚腕症候群・五十肩・腰痛症・頸椎捻挫後遺症などに保険適応しています。
 鍼を人体に刺す=治療目的の箇所へ物理的に微細な傷を付けることで、その傷を修復するために免疫応答が起こります。すなわち傷を付けた患部に各種血球が集まり、患部とその周囲を修復しようとするのです。これが鍼の効能のひとつです。

 さらに、鍼を人体に刺した際に、人体は「鍼=異物」を排除しようとします。鍼を外へ排除しようとする働きは、刺入された鍼の周囲の皮膚の新陳代謝を促すことにつながり、この効果は鍼を抜いた後も一定期間、持続します。このほか、神経系を介した反射により血管が拡張したり、筋肉の緊張を緩和したり、自律神経を調整する効果もあります。

流行の兆し!美容鍼

 鍼治療で使用する技術や効能を応用させて、近年は美容に鍼施術を行うようになりました。主に顔に鍼施術を行うものを「美容鍼」、または「美顔鍼」と言っています。治療する立場から感じるのは意外に需要があり、流行していること。
 施術方法にもよりますが、顔に使用する鍼は他の部位の治療に使用する鍼に比べて更に細い鍼や短い鍼になります。特に目元周囲を施術する際に使用する鍼は直径0.12㎜、長さ0.9㎜などで、このため目元ギリギリの施術が可能になるのです。

 顔に鍼を刺すことで、顔の筋肉の伸張性を正常に導く効果があります。これで弛緩してしまっている筋肉は引き締まり、過緊張している筋肉は緊張が緩まります。また、前述したように、顔に鍼を刺した箇所とその周囲の新陳代謝が向上する働きにより、顔の筋肉・皮膚に美容的な効果が期待できます。
 シワを浅くさせたり、目元周囲の黒ずみや血行不良からくるクマなども改善が見られるので、アンチエイジングへの意識が高い患者さんに喜ばれています。

 顔の皮膚は特に薄いので、稀に内出血をしてしまう場合があります。したがって、鍼を刺す(施術する)箇所に使用する鍼の選定が大切になってきます。そして、刺入する技術が高い、熟練の鍼師に施術してもらうことは言うまでもありません。

 ここからは余談です。イギリスの故ダイアナ妃が鍼灸治療を好んでされていたのは有名な話ですが、ダイアナ妃も美容鍼を受けていました。近年では、安室奈美恵さんが引退する際に受けたインタビューの中で、「顔鍼」という表現で最近気になるケアとして話をされています。スポーツ選手では、フィギュアスケートの羽生結弦選手、メジャーリーガーのダルビッシュ有投手も、外科手術をした後のセルフケアに鍼灸を取り入れていることが話題になりました。


編集部註:鍼治療を受けている患者さんの写真は、ご本人の了解を得て掲載しています。

高澤 啓 (たかさわ けい)
三鷹南口整骨鍼灸院 院長(東京都三鷹市)。鍼灸師、柔道整復師、機能訓練指導員、三鷹の森健康医研(株)代表取締役。整骨鍼灸院のほか、機能訓練特化型リハビリデイサービス「みたかの森」を運営している。ジャパン柔道整復師会・鍼灸師会会員。日本青年会議所医療部会会員。

▶三鷹南口整骨鍼灸院       
東京都三鷹市下連雀3-38-4三鷹産業プラザ3F
Tel:0422-26-9760
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